むかしむかし、エスペリアという国がありました。
そこでは、7つのカタチが調和をもたらしていました。
グルミンは、共感とつながりのカタチ。
その存在は、やさしい風のようにふんわりと流れていました。
彼女の色は、心を落ち着かせるやわらかな緑色。
それは、風が奏でるやさしいメロディーを思い出させてくれます。
「聴くこと」はとても大切。
それも、判断せずに心から聴くことが大切なのです。
グルミンは、共感とあたたかさの象徴であり、
まるでやさしい風のように愛を運びました。
7つのカタチの中でもいちばん心やさしく、純粋なグルミンの存在は、
他のカタチたちの心までも穏やかにしてくれました。
グルミンには、特別なちからがありました。
それは、この地に生きるすべての命と、ことばを交わすことができる力です。
今では、大人たちの記憶から彼女の存在は消えてしまいました。
けれど、子どもたちの髪を風がそっとなでるとき――
それは、忘れ去られた名前の代わりに、
「誰かのために心を寄せる気持ち」が今も生きているというしるし。
やさしい耳は、いまもずっと、
誰かを思いやるすべての心に、そっと寄り添っているのです。
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