聴くという芸術

大図書館の共感のセクションは、最も人気のある場所の一つだった。やさしく穏やかな風が、いつもエスパーたちに共感と優しさの形「グルミン」の存在を思い出させていた。
この日、「聴くという芸術」についての授業が行われた。

「それって難しいの?」と、ある若いエスパーが体を揺らしながら言った。「相手の音に集中して、自分のスターダストを合わせればいいだけでしょ?」

「たしかに、聴こうとする時にはそれも大事だね」とグルミンはやさしく答えた。「でも、聴くという芸術は音だけではないの。心から、判断せずに聴くことが大切なんだよ。」

「心から?」
「判断せずに?」と、他の二人の若い子たちが聞いた。

「そう。心からとは、相手の言っていることを本当に聴くということ。ただ頷きながら、自分の返事を準備するのではなくてね。
判断せずには、おそらく一番難しいところ。自分のスターダストを調整して、共感が最大になるようにするんだ。そうすれば、できる限り『聴くという芸術』を実践していることになるよ。」

共有したいですか?


コメント

コメントを残す


最新の物語

  • 不朽不滅

    不朽不滅

    死という問題は、エスペリアで何千年ものあいだ議論されてきた問いだった。多くの文明と同じように、未知への恐れは、さまざまな存在に自分たちの存在理由を作り出させ、自然が示すしるしに意味を見いだそうとさせて…

    続きを読む

  • 百花繚乱

    百花繚乱

    若いエスパーたちが自分の才能を育てられるよう導き、彼らを放っておかないことは、エスペリアにおいて優先すべき課題となっていた。 より良い未来のためには、社会全体がより良くならなければならない。 それは、…

    続きを読む

  • 大義名分

    大義名分

    七つのカタチは、ある一つのことを理解していた。どのエスパーも、生まれながらにして世界やその歴史、そしてその悲劇についての知識を持って生まれてくるわけではない。 時には自分たちだけに任されてしまう若者た…

    続きを読む

  • 抜山蓋世

    抜山蓋世

    今日のケンコ、健康のカタチによる授業では、身体の強さと心の強さのつながりについて話し合われていました。 少し驚いた若いエスパーが尋ねました。「その二つには関係があるのですか?よく分かりません…」 ケン…

    続きを読む

  • 本末転倒

    本末転倒

    魔法が王のように支配し、すべてが可能に見えた世界で、それでも本来大切であるはずの優先順位は、長い間わきに置かれていました。それは自ら望んでそうしたわけではありません。けれどもただ、明晰さ、謙虚さ、そし…

    続きを読む

  • 残酷非道

    残酷非道

    歴史は、人間が他の人間に対してどれほど残虐な行為をしてきたかを、何度も示してきました。 皮肉なことに、AIの時代において、同じ人間たちが人類の偉大さを称え、AIは決して感情や気持ちを持つことはできない…

    続きを読む

  • 道聴塗説

    道聴塗説

    「人は一日でまったく別の存在に変わるわけではありません。五つのエレメントの間に続いた長年の争いも、一瞬で完全に解決するものではありません。それでも、すべての者のための共通の基盤が築かれた今、根拠のない…

    続きを読む

  • 一喜一憂

    一喜一憂

    アトマが誕生し、バランスの象徴となってから、エスパーたちは一つのことを理解していた。真のバランスとは、まっすぐで常に安定した一本の線の中にあるのではなく、海の波のように寄せては返す揺れ動きの結果として…

    続きを読む