すべての子どもたちへ——そして、明るい未来を夢見るすべての心へ。
むかしむかし、静かな村に、グルコという内気で純粋な女の子が住んでいました。
毎朝、世界がまだ柔らかな光に包まれているうちに、グルコはお気に入りの丘の木の下に座り、静かに広がる世界を見つめていました。
「こんな私に、地球をもっと優しく、素敵な場所にすることができるのかな……?」と、そっと手を膝にのせながら思いました。
ある穏やかな朝、風が木々の間を歌う中、空から一枚の光る羽がふわりと舞い降りてきて、そっとグルコの手のひらに落ちました。
その羽に触れた瞬間、あたたかく優しい声が心の中に響きました:
「あなたは、“毎日の物語”のはじまりを見つけました。大切に植えてごらん。」
驚きながらも心惹かれたグルコは、羽を胸に抱えて、大好きなおばあちゃん——ルナおばあちゃんのもとへ駆けていきました。
彼女の声は苔のように柔らかく、知恵は森の古木のように深くて静かでした。
「おばあちゃん、」とグルコは羽を差し出しながらささやきました。
「この物語、どうすればいいの?」
ルナおばあちゃんはにっこりと微笑み、優しい目で答えました。
「世界を助けたいならね、小さな星さん、こう覚えていて:姿も声も違っていても、みんな同じ家に住んでいて、同じ心を持っているのよ。」
グルコの目に、そっと希望の光がともりました。
「でも…どこから始めたらいいの?」
ルナおばあちゃんは胸元から、光る絹の小さな袋を取り出しました。
中には7つの小さな種が入っていて、それぞれがやわらかな光を放っていました。
「毎日この種を、自分の中に植えるのよ。」
「それは贈りもの——あなたの心を虹色に輝く“星”に育ててくれる、大切な種よ。」
そう言って、グルコの手にそっと種を乗せながら説明しました:
— 時間をかける忍耐の種、
— バランスを見つける知恵の種、
— 学び続ける好奇心の種、
— 人とつながる優しさの種、
— 体を大切にする強さの種、
— 困難に立ち向かう勇気の種、
— そして世界の美しさに気づく感受性の種。
「心は庭のようなものよ。」とルナおばあちゃんはそっと語りました。
「この種たちがあれば、あなたの脳は毎日変わっていけるの。命のように、生きていて伸びていくのよ。」
グルコはその種を胸に抱きました。
「本当に…何かが変わるのかな?」と、小さな声で尋ねました。
ルナおばあちゃんは葉のささやきのように静かに笑いました。
「変化は、いつも静かにはじまるの。ひとつの思いが、次の心を照らす。ひとつの笑顔が、世界を温かくするのよ。」
こうして、グルコの旅がはじまりました——そっと、丁寧に、まっすぐに。
毎日、彼女は見えない種を心に植えました。
風の音に耳を澄まし、深く息を吸って、
与えることと休むことのバランスを学び、
新しいことに目を輝かせ、
優しさで友だちをつくり、
体を食事と動きと休息でいたわり、
不安な時も勇気を出して一歩を踏み出し、
そして、小さなものの美しさを見つけては大切にしました。
やがてグルコの心の中に、小さな光が宿り、
それは虹色の星となって輝きはじめました。
それぞれの色が、大切に育てた種を映していました。
その光が、まわりの世界を少しずつ照らしていきました。
——笑顔がふえ、
——優しさが広がり、
——静かな喜びが、日々を包みました。
すべては、ひとつの小さな物語から始まったのです。
そして、もうひとつ… さらにもうひとつ…。
グルコは気づきました。
世界を変えるには、大きな声や特別な力はいらない。
それは、毎日そっと選ぶ「やさしさ」から始まるのです。
毎日の物語を通して。
おしまい。
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