時間をかけること

混沌の戦争の始まりに先立って起こった出来事には、どこか既視感があった。

エレメントたちは皆、新たな技術の開発競争に熱中していた。その技術は、一方では世界支配の欲望を満たし、もう一方では不死への夢を追い求めることを可能にするものだった。

時間のカタチであるシャラは、この文明が再び、自分たちだけでなく惑星全体の生態系にも害を及ぼしている様子を、悲しみとともに見つめていた。

もし彼らが少しでも時間をかけてくれたなら…

彼女はそう思った。

それでも、より公正な世界を求める小さな声があちこちで上がり始めていた。その世界は、今まさに向き合わなければならない本当の課題に、ようやく目を向けるものだった。

しかしその課題は、利益の追求とその拡大ばかりを求める指導者たちによって、後回しにされていた。どれほど大きな代償を払うことになろうとも。

その小さな声たちは、この瞬間が極めて重要であることを理解していた。そして、正しい問いを立て、ともに考え、その解決に真剣に取り組むための時間を持つことが不可欠になっていることも。

それは彼ら自身のためではなかった。なぜなら、その結果が表れるのはこれから何年も先のことだからだ。

未来の世代のために

まだ生まれてもいない、自らの意見を述べることすらできない者たちに、彼らはどのような世界を残そうとしているのだろうか…

共有したいですか?


コメント

コメントを残す


最新の物語

  • 純情可憐

    純情可憐

    私たちの友人であるカモノハシのチャチャと、風の谷の若きエスパーであるグルコとの出会いは、彼の中に埋もれていた思いやりを呼び覚ますきっかけとなった。 グルコは純粋で無垢であり、そのことが彼女に魅力的な美…

    続きを読む

  • 愚者一得

    愚者一得

    今日の教えの中で、ヴァティ、知恵のカタチは、大切なことを思い出させようとしていた。 これまでエスパーたちの強さを支えてきたのは、魔法でも、知性でも、身体の力でもなかった。 エスパーたちをそのような偉業…

    続きを読む

  • 明暗両面

    明暗両面

    アトマ、バランスのカタチを象徴する色は、海を思わせる深い青だった。 その波の満ち引き、上がり下がりは、いまやバランスと結びついたイメージとなっていた。 一直線とはほど遠く、あらゆるものには良い面と悪い…

    続きを読む

  • 往事渺茫

    往事渺茫

    エスパーにとって、もし苦手なことがあるとすれば、それは時間の無常を感じることだった。 過去であれ未来であれ、現在やその近くにないものはすぐに抽象的となり、物語という形をとるようになる。 それらの物語は…

    続きを読む

  • 一味同心

    一味同心

    エスペリアにとって、それはスターダストの発見であり、カオス戦争の終わりにすべての者へ明かされたその出来事こそが、エスパーたちがついに協調して行動するきっかけとなった。 実際、長年にわたり、技術の進歩や…

    続きを読む

  • 義理人情

    義理人情

    エスパーたちは、彼らの惑星において意識を持つ唯一の存在ではなかった。動物や、さらには植物さえも、それを発達させていた。 バンジェルは、小さな犬のような姿をした生き物だった。母を失った後、彼は絶望に沈み…

    続きを読む

  • 精神修養

    精神修養

    日々の心の鍛錬の厳しさを自由への制約だと考える者もいたが、健康のカタチであるケンコは、良い健康とは身体だけでなく、心にもあるものだとよく思い出させていた。 こうして、エスペリアをより健やかな基盤の上に…

    続きを読む

  • 着眼大局

    着眼大局

    シンバは、エスペリアの社会の片隅で暮らしている小さなサルだった。エスパーではなかったが、彼もまた意識を育み、異なるエレメントの五つの言語を学んでいた。 異なる視点から世界を見ていた彼は、なぜ五つのエレ…

    続きを読む